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2006年最後のMashUp、Last.Tube

今年は色々とMashUpを作って公開してきたわけですが、いよいよ大トリの登場です。…というほど派手なもんではありません。

自分の好きなアーティストは人におススメしたいもの。で、他人にそのアーティストのよさを伝えるには、音楽性云々を語るよりも曲そのものを聞いてもらうのが一番早い。さらに、音楽だけでじゃなく、クールなPVを見せられたら、もっと効果的だろう。というわけで、Last.fmの自分のページの「Weekly Top Artists」のリストをもとに、YouTubeの動画とAmazonの広告をリストアップするWidgetを作った。右側の「Last.Tube」がそれ。貼り付けたい人は下記のscriptタグを自ブログに貼り付けてほしい。なお、YouTubeとAmazonで各々検索にヒットしなかった場合は、動画・広告が表示されず、アーティスト名だけが表示される。

<script type="text/javascript" src="http://www.got2do.com/api/Last2Bplayer.php?user=[Last.fmのユーザ名]&aid=[Amazon.co.jpのアソシエイトID]"></script>
(ユーザー名、アソシエイトIDは各々自分のものに変更してください。)

早い話がこれまたアサマシで、本年「TEDDY-G脅威のテクノロジー」を駆使して様々なアサマシを提案してきた当ブログの2006年最後を飾るにふさわしいエントリである。二つ前の「映像とか音楽とかのサービスのMashUpについて、あと最近聴いてる曲」のエントリを書きながら、「ああここでJ.Valentineのアルバムへのリンクを張りたいなあ」とか思ってるうちにアイデアが発展して、突貫工事で作ったもの。最後まで突貫工事というのも実に自分らしい。Weekly Top Artists以外のデータを使ったほうがいいんじゃないか、とか、どう見てもU2B Playerの使いまわしです、とかその辺は追々調整するかもしれません。

ところでこのLast.fm、私自身は吸収されたaudioscrobblerのほうのユーザーだったのだが、audioscrobblerの「自分のお気に入りを自動的に学習する」という仕組みと、Last.fmの「新しい発見を提供する」というExperienceが結びついて非常に優れたサービスになっている。M&Aで最も難しいのは買収後の組織の融合だが、Last.fmは見事に組織を"MashUp"させてすばらしいサービスを完成させることに成功した。2007年は2.0熱も多少冷め、金を稼ぐ仕組みを持ってる人たちによる、そうじゃない人たちの買収が加速し、淘汰が進んでいくだろう。そうした中で、自分たち自身をどれだけうまく"MashUp"させられるかが、買う人にとっても、買われる人にとっても重要になるのではなかろうか。

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トラフィックの推移から見る日本のインターネット

2000年末から2001年にかけてブロードバンドサービスが開始した当初、そんなに広い帯域があってもどうすんの?という意見が散見されたが、YouTubeをはじめとするビデオ系サービスの隆盛を見るにつけ、漸くブロードバンドが利活用されるようになってきた感がある。また、MashUpはサーバー間のデータ通信を促進するし、AJAXも使いようによってはクライアントとサーバー間のデータ通信を増加させる要因になり得る。こうなってくるとインターネットのトラフィックは大変なことになってんじゃないの?と思って調べてみた。

ソースは総務省の「我が国のインターネットにおけるトラヒック総量の把握」と「ブロードバンドサービス等の契約数」。但し、2004年5月のトラフィック総量だけは公表値がないので、「トラヒック総量の把握」の資料添付の「国内主要IXにおけるトラヒックの推移」をベースに推計してみた(2004年11月以降の公表値を見る限り、国内トラフィック総量が主要IXトラフィックの約4倍であることより推計)。

結果は上図の通り。インターネット契約数をユーザ数とすれば、ユーザ当たりのトラフィックは、2005年を境に飛躍的に増加していることがわかる。ちなみに、推計値だらけになるので割愛したが、2003年以前のユーザ当たりトラフィックは、2004年と殆ど変わらないレベルで推移している。2005年というとYouTubeとGoogle Videoが開始した年であり、それと時を同じくして日本のユーザの一人当たりトラフィックが増加しているというわけだ。結構雑な調査ではあるが、最初に示した仮定の通り、ここ2年ほどでユーザが求める帯域幅は一気に拡大したと言ってよいだろう。但し、ビデオ系サービスのように瞬間風速が大きなものがその要因となっているのか、MashUpやAJAXのようなデータ交換技術が要因となっているかまでは、これだけでは不明である(まあ、多分前者なんだろうけど)。

今後、ますますこういった傾向が進んでいくと、ニーズが増えてくるのがトラフィックを軽減させるサービスだ。データ配信のルーティングの効率化技術や、データのキャッシュ技術、圧縮技術、負荷分散、といった最早枯れた感のある技術が以外に注目を浴びるのかもしれない。勿論、バックボーンではそうした技術はとっくに採用されているから、今後はもっとエンド側のネットワークやLAN内での活用が促進されるだろう。ブログがLAN内で活用され始めたように、Web上のサービスと同じような仕組みが、LAN内で活用され始めることが予想されるからだ。MashUpだの集合知だの、Web2.0の裏側で以外に地味な分野が儲かるのかもしれない。

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映像とか音楽とかのサービスのMashUpについて、あと最近聴いてる曲

新年の辞で2006年は映像とか音楽のコンテンツの"Remix"(MashUp)が進むぜ!とか書いたわけですが、振り返ってみると思ったより進まなかった気がします。確かにYouTubeのTrafficの伸びっぷりはすごく、Alexaのグラフ(下図)で見るとまさに「うなぎのぼり」です。でもって、YouTubeの動画を引用しつつ書くスタイルのブログも割とポピュラーになっており、YouTubeでプロモーションをする企業も現れ始めました。こうしたコンテンツのReuseは確かにひとつの方向ではありますが、一次著作物以上の良さを提供するRe"Mix"に至るにはまだもうちょっと時間がかかりそうです。弊「U2B Player」「YouTube+Ads」もRemixと呼ぶには少し足りない感じ。この辺は、純粋にRemixが難しいのに加え、音楽や映像コンテンツにアクセスする為のInterfaceをサービス側がもうちょっと用意する必要があるのかもしれません。

さて、音楽と言えば、米国に来てから車中心の生活になりましたが、当初はiPodで音楽をガンガン聴くつもりが以外に使ってません。じゃあ、何を運転中に聴いてるかと言うとラジオ。(ミーハーな)洋楽好きの私としては、普通にラジオを聴いているだけで十分に楽しめてしまうのです。特に良く聴くのが、R&B中心の地元ラジオ局のKMELで、そこで最近割とよくかかるのが、J. Valentineの"She's worth the trouble"。何か90年代を思い出させるベッタベタの曲調に妙にハマってAmazonとかiTMSで探してみても引っかかりません。と思ったら、来年アルバム発売ですか。で、さらにググってみるとimeemで音源を公開してる人がいました。このimeem、「P2P型のSNS」ということで当初は開始したのですが、今はコンテンツをシェアするSNSみたいになってる模様。ブログに貼るプレイヤーも準備されてた為、ああ違法だ違法だ著作権法改正後には貼るだけでも有罪だ、いや聴いた時点で有罪だ、とか思いつつ下記に貼付け(いきなり再生される為、「続きを読む」以下に貼ってあります)。

さて、そもそもこの曲の曲名とアーティスト名をどうやって知ったかというと、ラジオに表示される文字情報。ぼけーっとラジオを流し聞きしてて、いい曲だなと思ったらすかさずチェックできるので、新しい曲を発見するのになかなか便利。この辺の新しい発見ができるのが、iTunes+iPodからラジオに移行(回帰?)した理由のひとつでもあります。ビジネス的には、この辺をうまくRemixできればなあ、と思います(ハードに詳しい人ならば、文字情報をうまく使って、「それPlaggerで」というところなんだろうけど)。

2006年も残りわずかだというのに、とりとめもないエントリですが、ホントはここ2年くらいインターネットのビジネスを考える際にこれまで自分が使っていたフレームワークを公開しようと思って筆を執ったのでした。たぶん全7回くらいになる上、「父さん、今更こんなものを」感も強いのでアクセスの低い年末にこっそり書くつもりでしたが、どう考えても間に合いません。というわけで、新年早々古いネタのオンパレードになる予定。

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サイト内検索をするBookmarklet

インターネットには驚くほど数多の情報リソースが詰まっている。特に驚くべきことは、個人が企業サイトも顔負けの情報量を持つウェブサイトを準備していたりすることだ。特にIT系、プログラミング言語のリファレンスページなど、専門書を買うまでもないくらい充実しているサイトも多い。しかしながら、古いサイトの場合、Movable TypeやXOOPSなどのCMSを使わずにHTMLだけで構成されていたりして、検索機能が弱い場合が結構ある。そんなときに重宝するのが、言わずと知れたGoogleのサイト内検索機能(site:オプション)だ。で、いちいちGoogleに飛んでsite:hoge.comとか書くのが面倒なので、Bookmarkletにしてみた。これ。

サイト内検索
サイト内検索(ディレクトリ指定)

上の方は、実行すると検索キーワードを聞いてくるので、入れるとGoogleに飛ぶ。但し、今見ているページが存在するディレクトリを指定する形になる。下の方は、実行すると検索キーワードの前に検索するディレクトリが今のページが存在するディレクトリでいいか聞いてくるので、もうちょっと上の階層を指定したければ、そこで指定し直せばよい。

このサイトもそういった先人に倣い、できるだけ有用な情報リソースになろうとしているんだけども、結局日記と特に変わらないレベルというこの事実。しょぼん。

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U2B Playerとprototype.jsの競合問題解決

直前のエントリで書いたprototype.jsとの競合問題ですが、修正しました。
U2B Playerのコードで一箇所 for (a in b) { } `を使って連想配列の値を取り出してるところがあったんだけど、prototype.jsによってObject.prototypeが汚染されてしまってうまく処理できなかったのが原因。さっき急に最速のここで対応策が説明されてたのを思い出して、あっさり修正完了。こんな感じ。

for (var a in b){
if (b.hasOwnProperty(a)) {
//処理内容
}
}

hasOwnPropertyを使ってチェックしてあげればいいですよ、ってそれだけのことだったのかあ。というわけで、prototype.js使ってるドリコムでも無事U2B Playerが使えるようになりましたとさ。

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U2B Playerの変更点、というか変更を余儀なくされてるだけなんだけど

YouTubeのAPIで取得できるユーザーのお気に入り/投稿ビデオの一覧が上限10個になってしまったので、U2B Playerで表示できるお気に入りビデオ数も10個になってしまっている。YouTubeには「前みたいにリストを全部取得する方法ないの?」と質問を投げているんだが、OK、返事はナシのつぶてだ。俺の英語が意味不明で全然通じてない可能性も割と濃厚なんだけど、San Mateoまで乗り込んでも相手されないと思うので、誰かもし解決方法を知ってる人がいれば教えて下さい。
※追記:その後YouTubeのサポートチームと何度かメールでやり取りした結果、現状APIから取得できるビデオの数は上限10個とのこと。将来的に直すかもしれないそうだが残念無念。
あと、prototype.jsと一緒に使うとIEではうまく表示できないという不具合が生じてる。直す方法は分かったんだが、書き直す時間が微妙になくて、直せてません。こんなエントリとか一個前のやたら長いエントリ書いてる暇あったら直せよ、ってホントすいません。以上、事務連絡でした。
※追記:直しました→こんな簡単な方法で。

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頭だけでビジネスを考えてしまう人たち

新しいビジネスを考えるというのは難しいものだ。とは言え、新規ビジネスを考えるときの方法は次の4パターンくらいしかないように思う。

  1. 現状のビジネスの改善

  2. 現在の取り扱い商品への別分野のビジネスモデルの適用

  3. 現在のビジネスモデルの別商品への適用

  4. まったく新規の発想

1番目の端的な例はコスト削減案で、無駄なルーチンワークを減らして人員を削減するとか、原材料を見直して原価を下げるといったもの。2番目の例は、商品管理にカンバン方式を導入して、ジャストインタイムな商品小売を実現したコンビニエンスストア、3番目の例は、カジュアル衣料で成功したSPAというビジネスモデルを野菜にも導入しようとしたユニクロが挙げられるだろう(残念ながら失敗に終わったが)。でもって4番目は、ある日突然天からの啓示が稲妻の如く脳裏に閃くもの、平たく言えば「思い付き」がそれにあたる。今回のエントリはこの「思い付き」型新規ビジネス提案がテーマである。


「思い付き」はふとした瞬間に訪れる。仕事を片付けて帰ろうとした瞬間だとか、音楽を聴きつつ車を運転してる時だとか、友人とまるで関係のない雑談をしている時などに突然閃くのである。その閃きがあまりに鮮烈なものだから、大抵の場合、思いついた瞬間は自分が神になったかと錯覚してしまうほどだ。友人と雑談中に思いついた時などは、そのアイデアで世界を変革できるんじゃないか、というくらいに盛り上がる。その実、落ち着いてGoogleで検索してみると、とっくの昔にビジネス化されていて、極度に落胆したりするものだ。問題は、「思い付き」がGoogleでヒットせず、具体的に検討段階に進んだ場合である。


以前、「ちゃんと考えること、ちゃんと議論すること、ちゃんとアウトプットすること」というエントリで述べたが、「思い付き」をビジネスにするためには、ファクトをベースに「考え」、「議論し」なければならない。勿論、まったく新規の市場をターゲットとする場合には、既存のデータをもとに推測するほかない。例えば、40代以上の日本の主婦をターゲットにした健康志向の有料SNSを検討するとしよう。この場合、「40代以上の主婦が日本に何人いるか」「健康に気を使う人がその内何%いるか」「どれ位の可処分所得があるか」等々のデータを組み合わせて、ターゲット市場を想定していくわけである。政府やシンクタンクが発表した統計データや独自アンケート調査を元に試算した結果、数百億円規模の市場が見積もれたならば、取らぬ狸の皮算用で狂喜乱舞することだろう。


では、このマーケット予想をもとに、ビジネスを開始してよいか。確かに、一見、アプローチ方法は間違っていないように思える。アイデアを具体的なビジネスモデルに落とし込み、想定顧客をイメージし、その想定を元に客観的なデータから市場サイズを予測する。市場サイズを測る手法は、実に冷静かつ客観的であり、主観的な思い込みではない。しかし、その一見「客観的なアプローチ」に致命的な落とし穴があるのだ。確かにデータ及び計算方法は客観的だろう。しかしながら、その「前提条件」はどうか。本当に想定顧客が十分具体的にイメージできているだろうか。先の健康志向SNSの例で言えば、果たして40代の主婦がインターネット上のコミュニティで活発に交流するのだろうか。


失敗するビジネスは、この「具体性」が自分勝手な妄想になっていることが非常に多い。そもそも、自分が所属しているセグメント以外の人間がどのような嗜好を持ち、どのような行動原理に基づいて消費活動を行うか、というのはイメージしづらいものである。加えて、自分が所属している「セグメント」が如何に特殊なものであるか、については多くの人が見落としがちだ。年齢、性別、職業、趣味、可処分所得、等々の複数のパラメータで自分を分類していくと、自分が如何に特殊かということに気づくことができるはずである。そのような「特殊」な自分が、他のセグメントに属する人間の行動を予測するのは非常に難しい。結局、どれだけ客観的な想定に基づいたとしても、そのようなビジネスは思い付きに過ぎず、頭で考えただけの「絵に描いた餅」になってしまうのである。


ここまで書くと、こうした「思い付き」型新規ビジネスは押し並べて失敗するかのように思える。しかしその実、「思い付き」こそがイノベーションを起こし得る可能性を秘めているのもまた事実である。また、「思い付き」とは脳内で瞬時に複数の価値判断を組み合わせた結果であり、思い付いた瞬間に自分自身の価値観の集大成となっているものなのだ(この点に関する理論的裏付けは長くなるので割愛)。大事なことは、「思い付き」を頭で考えただけの独善的なアイデアに落とし込むのではなく、自らの価値観に照らして地に足の着いたアイデアに仕上げることである。先の健康SNSの例で言えば、自分が最初に思い付いたターゲットユーザーは、40代主婦ではなく、自分自身であるかもしれない。この部分の見極めこそがビジネスの成否を決定すると言っても過言ではない。Googleは結局自分の使いたいサービスを独善的に拡大しているだけである。理論派を気取るビジネスマンたちも、この点をよく考える必要がある。

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